「無理に包皮を剥いたら戻せなくなった!」
「剥いた状態で勃起したらどんどん腫れてきた…」
皆さんはこのような経験をされたことはございませんか?この症状は一般的に『カントン腫れ』といわれており、いとも簡単に起こってしまうのですが、実は非常に危険です。

カントン腫れとは

医学的には「包皮輪の最狭部に絞扼があり、包皮を翻転して亀頭を露出したまま放置すると、包皮輪より遠位にリンパ浮腫をきたし、翻転が戻らなくなる。絞扼部に炎症をきたし疼痛を伴うこともある。」ことを指します。

補足しつつ、少し簡単にご説明すると、包皮輪(亀頭に皮をかぶせた時に先端にくる皮の部分のこと)が狭くなっている方が皮を剥くと、亀頭のカリ下あたりで狭い輪が陰茎のさおの部分を締めつけてしまいます。
そして、上部からの体液の流れを阻害し、体液(特にリンパ液)が剥いてある包皮に溜まります。
このようにしてリンパ浮腫(リンパ液がたまって腫れること)を起こすことを『カントン腫れ』と言うのです。

カントン腫れを放置して悪化してしまうと、痛みが出てくるだけでなく、亀頭への血流が悪くなってしまうため、急いで泌尿器科医がいる病院を受診する必要があります。
もし放置してしまうと、痛みは治まるのですがそれはだんだん感覚がなくなっているという事で、最悪の場合陰茎が壊死してしまいます。

カントン腫れの対処法

カントン腫れの対処法としては①用手による整復(手を使って元に戻すこと)、②包皮の切開があります。
①は“医師が”手で皮を戻すことであり、かなりの痛みを伴います。ご自身で戻そうとすると余計に悪化してしまう可能性もあるので、必ず医師に任せましょう。
実際には叫ぶほど痛い事もあります…。これで皮が元に戻ればまだ良いのですが、手で戻せない場合、応急的に②包皮の切開(手術)を行う必要があります。
②の場合は、局所麻酔をして狭い包皮を一部切開して包皮口を広げ、皮を戻す方法です。局所麻酔を使用しますが、最終的に包皮を元に戻す際なども痛みを伴うこともあります。

カントン包茎・真性包茎はカントン腫れを起こすリスクが高い

カントン腫れを解決する方法はありますが、いずれも専門の医師に診てもらう事が最低条件となります。
ですが現実的なお話をすると、泌尿器科専門医は日本全国に1万人もおらず(泌尿器科学会員が1万人以下くらいです)、地域やタイミングによりますが、仮に夜間にカントン腫れを起こした場合、病院を探そうにもなかなか見つからないこともあります。(私も以前、深夜に救急車で3時間かけて来院されたカントン腫れの患者さんの対応をしたことがあります。)

カントン腫れを起こすと、

  • そもそもすごく痛い
  • 恥ずかしくて相談しにくい
  • なかなか病院が見つからない
  • 処置に痛みが伴う

という可能性があります。(これは最悪の経験ですね…。)

カントン腫れは、カントン包茎や真性包茎の方の場合、非常に身近なリスクです。
勃起時に亀頭の下あたりに締めつけがある方、それにより少しでも痛みを感じる方は、根本的治療として、包茎手術を受けることを強く勧めます。

泌尿器科専門医としてお伝えしたい事

嵌頓包茎には症状に幅があります。「勃起時に締めつけがあり、痛い」が基本ですが、「通常時も勃起時も簡単にむけるけど、勃起時ほんの少し締めつける」「ぎりぎり性交渉できるけど痛い」という軽いものから、「皮をむいての自慰行為ができない」「包皮輪がすごく狭くて一度も剥いたことがないため真性包茎と思っていたが、真性包茎は保険適応なのに、嵌頓包茎はいわゆるカントン腫れを起こさないと保険適応にならないため、病院の医師は「そのうち皮が伸びるよ」と言って手術に関して言及しない事も多いです。
真性包茎は保険適応なのに嵌頓包茎は適応ではなく、病院の医師は「そのうち皮が伸びるよ」と言って手術に関して言及しない事も多いです。
成人してから皮が伸びるということはあまり多くないように感じます。

印象に残っているエピソードですが、重度の嵌頓包茎をそのままにして独身のまま過ごした40-50歳代の患者さんが、意を決してABCクリニックで手術を受け、「これをハタチの時にやっていれば俺の人生、違ったな…」と言っていたことをよく思い出します。
また、「痛みのせいで、ちゃんと最後まで性交渉できなくて彼女にフラれた」という話を聞く事も…。

まずは無料カウンセリングで悩みを相談しませんか?

日本人はあまり重視しないことが多いですが、性交渉は人生において非常に大事なことです。もちろん性交渉は子作りという面もありますが、パートナーとの大事な要素の一つであることを声を大にして言いたいです。

「勃起時に締めつけて痛い」「痛くて性交渉できない」というのは、おおごとです。少しでも心当たりのある方、ABCクリニックを受診してみませんか?どうぞお気軽にご相談くださいね。

当記事の執筆者
院長写真
小林 大剛
日本泌尿器科学会認定 専門医
平成25年3月 東京慈恵会医学大学医学部 卒業
平成27年4月 東京慈恵会医学大学泌尿器科 勤務
令和3年1月 JR東京総合病院泌尿器科 医長就任
令和4年4月 ABCクリニック美容外科 入社
令和5年8月 ABCクリニック美容外科 柏院 開設

平成25年3月 東京慈恵会医学大学医学部 卒業
平成27年4月 東京慈恵会医学大学泌尿器科 勤務
令和3年1月 JR東京総合病院泌尿器科 医長就任
令和4年4月 ABCクリニック美容外科 入社
令和5年8月 ABCクリニック美容外科 柏院 開設